空襲でもご安心 

~1939年(昭和14年)10月20日 京都日々新聞より~

1939年、昭和14年9月にヨーロッパで第二次世界大戦が始まり、ベルリンやロンドンの動物園の猛獣は、空襲を受けたときのために毒殺・銃殺されました。そのニュースは日本にも流れ、さて動物園内の猛獣をどうするか?については目下各方面で論議されるようになり、京都市民も不安を持つようになりました。

当時の園長、長田園長は、市民の不安を払しょくするため、「京都市動物園には幸い狭いコンクリートの寝室があるため、空襲で爆撃されても脱出の危険はなく、爆撃を受ければコンクリートの破片が覆いかぶさるので、逃げる前に死んでしまう。事前に処分する必要はない。」と熱心に説明し、「猛獣が逃げると危険だ」といううわさが広まる前に沈静化するよう、懸命に努力したのです。

【以下、記事より抜粋】
『ロンドンやベルリンで猛獣を銃殺したとか毒殺したと傳へられてゐますし、先日の動物園長會議でもこれが大きな話題となりましたが、京都動物園は幸ひコンクリートの狭少な寝室がありここへ押し込めたら大丈夫と云ふ自信を持つてゐますが、目下なほ星野技師とも充分協議中でこの話では日本で一番恵まれた動物園と云ふことが出来ませう、・・・・』