生き物・学び・研究センターブログ
2025年5月24日(土)標本棚のラベル裏008 レッサーパンダ(全身交連骨格標本)
京都市動物園は1903年の開園以来、様々な動物を飼育してきました。
動物が死亡した後は、教育普及・研究を目的として、標本を作製し保存しています。
このブログでは、現存する所蔵標本を、ラベルに載せ切れない情報とともにご紹介したいと思います。

現在、上野動物園以外でジャイアントパンダが見られなくなると取り沙汰されています。
「パンダ」という名称は、もともとレッサーパンダに与えられたものでした。
その後ジャイアントパンダが有名になるに従い、区別するために、もともとパンダと呼ばれていた本種を、レッサーパンダ又はレッドパンダと呼ぶようになりました。
レッサーパンダはレッサーパンダ科の動物で、近縁種にアライグマ科などがいます。
近縁種と同じく雑食で鳥や卵などを食べることもありますが、基本的にはタケなどを食べる生き物。
消化効率の悪いタケを主食とするため大量に食べ続ける必要があり、特殊化した指を持っています。


2枚目は左前肢の拡大写真、3枚目は右前肢を後ろから見た写真。
5本の指とは別に、手首の両側に突出した骨(親指側;撓側手根骨、小指側;副手根骨)が見えます。
他の動物でも見られる骨ですが、レッサーパンダではこれが肥大化して、向かい合った親指のような役割を果たし、タケを握ることができるのです。
ヒトと異なり手でものを掴むことができないイヌやネコの仲間にあって、タケを食べるために進化した結果だと考えられています。
この個体はジャスミン。
2013年に上海動物園から来園した個体で、2019年に死亡するまで6年にわたって飼育しました。
低カリウム血症に悩まされた個体でもあり、何度か起立不能やふらつきを経験しています。
オスのウーロンとの間に5頭の子を設けており、そのうちの2頭、ロッポとプーアルは現在でも他園で見ることができます。
土佐