生き物・学び・研究センターブログ
2025年6月7日(土)標本棚のラベル裏010 ヒツジ(頭骨)
京都市動物園は1903年の開園以来、様々な動物を飼育してきました。
動物が死亡した後は、教育普及・研究を目的として、標本を作製し保存しています。
このブログでは、現存する所蔵標本を、ラベルに載せ切れない情報とともにご紹介したいと思います。

頭の横に渦巻き状に伸びる、いわゆる「アモン角」を持ったヒツジの頭骨です。
記録上はコリデール種と記載されていますが、純粋なコリデール種が雌雄共に無角であることを考えると、雑種であったのかもしれません。
なお、ヒツジには、螺旋状に巻きながら直線に伸びる「ラセン角」を持つ品種もいます。

外した角は大変重量があります。
骨でできた芯(角芯)をケラチン(角鞘)が覆うタイプの角であるため、死後取り外すと中空に。
いわゆる洞角(ホーン)に分類されるタイプの角で、同様の構造の角はウシ科に見られます。
洞角は古くから角笛や角杯に用いられており、特に聖書上のエピソード「エリコの壁」で壁を崩したショファルは、オスのヒツジやウシの角から作られた角笛であるようです。

角鞘を外した姿はヤギによく似ています。
角芯は角鞘の奥まで伸びているのではなく、頭部に近い位置に留まることが分かります。
この個体はサツキではないかと思われます。
1994年に五月山動物園からメスのムツキとともに来園し、1999年まで在園していました。
当園では、2000年にムツキが死亡した後はコリデール種の飼育は行っておらず、現在はサフォーク種を飼育しています。
土佐