生き物・学び・研究センターブログ

2025年8月9日(土)(チンパンジーのお勉強)ロジャーの実は・・・

チンパンジーの勉強部屋です。この日は、たくさんの個体がやってきて、勉強場所の空き待ちが起こっていました。

左から、ローラ、中央のモニターにはコイコ、その手前でローラの方を向いているのがジェームス、右のモニターにはニイニと、ニイニを見ているロジャー。

この後、ロジャーは母親のローラが勉強していた場所にむりやり割り込んで、勉強を始めました。

勉強するロジャー。ロジャーに追い出されたローラは、ニイニの勉強していたモニターに移動して勉強を再開しました。

今年の5月の後半から、1から10までの数字の順序を勉強していたのですが、これまでにお伝えしてきたように、やったりやらなかったり、余計な事をやったりで、回数としてはロジャーはやってきませんでした。

しかし、成績を見ると、はじめから比較的よくできていて、7月に入ると合格基準を超えていました。この間に、問題数としてはわずか700問ほど。(成績は100問単位で見ています。100問中75問正解が2回続くと、合格になり、数字をひとつ増やします。)

1日だけを見ると数問しかしていない日もありますが、1から10までの問題では、最初からよくできていたので、1日にたくさん問題をしていたことも成績が早く上がった要因かもしれません。

勉強している他のゴリラ、チンパンジーたちと比べてみると、ゴリラのゲンタロウがほぼ同じ、800問で合格基準に到達していましたが、キンタロウは3600問かかりました。チンパンジーのニイニは4600問かかっています。その他の大人のチンパンジー、タカシは2000問、ジェームスは6300問やって、ようやく合格基準に到達しました。そしてコイコは、1から10までの問題をこれまで15400回やっていますが、まだまだかかりそうです。

1から10までの問題だけでなく、それ以前の問題で見ても、ロジャーは、もっとも短期間で勉強が進んだゲンタロウと、問題数で見ればそん色ない速さで進んでいることがわかりました。

今後のロジャーにも注目していきたいと思います。

さて、ロジャーと比べると、ものすごくゆっくりと学習を進めているコイコです。

しかし、覚えられないわけではなく、少しずつ、少しずつではありますが、成績が上がっています。コイコは推定48歳ですが、まだ意欲も衰えていません。ロジャーやゲンタロウの20倍かそれ以上の回数が必要になるかもしれませんが、合格基準に到達して、またひとつステップアップしてくれると期待しています。

そして、ロジャーは1から11の問題を始めています。

モニターに向かって1から11までの数字の順番を覚える勉強をするロジャー。右はコイコ。ロジャーの背後で座っているのは父親のジェームス。
田中正之