生き物・学び・研究センターブログ

2025年9月19日(金)標本棚のラベル裏024 インドニシキヘビ(皮革標本)

京都市動物園は1903年の開園以来、様々な動物を飼育してきました。
動物が死亡した後は、教育普及・研究を目的として、標本を作製し保存しています。
このブログでは、現存する所蔵標本を、ラベルに載せ切れない情報と共にご紹介したいと思います。

ふわふわの哺乳類が続きましたので、少し目新しいものを御紹介。
インドニシキヘビはインドから東南アジアに生息する無毒のヘビ。
大きいものでは体長が3mを超えることもあります。
ジャングルブックの原作版では、重要な登場人物として登場しました。

ヘビの表皮は、毛ではなく鱗に覆われています。
背側~両脇側の小型の鱗(体鱗)と、腹側の大型の鱗(腹板)から構成され、移動の際のフックとして機能するほか、体を守り、乾燥を防ぐ役割も果たしています。
これらは、魚類とは異なり死んだ細胞であるため、定期的にまとまって脱落します(脱皮)。
また、鱗は種によって配列が異なるため、種を特定する際の重要なヒントになります。

「京都市動物園100年の歩み」には、1926年に温暖室にニシキヘビを移動させた記録があります。
これがインドニシキヘビであったかは不明ですが、いずれにしろ、当時既に大型ヘビの飼育が行われていたようです。

インドニシキヘビには、近縁種にかつて亜種とされたビルマニシキヘビがいます。
この2種は雑種を作ることができる程近縁であり、当園においても、当初インドニシキヘビとされていたものが、のちにビルマニシキヘビに種名変更された個体がいたようです。
この際も、鱗の配列が種の特定に活用されました。

土佐