生き物・学び・研究センターブログ

2025年10月25日(土)標本棚のラベル裏029 キリン(皮革標本)

1903年の開園以来、様々な動物を飼育してきました。
動物が死亡した後は、教育普及・研究を目的として、標本を作製し保存しています。
このブログでは、現存する所蔵標本を、ラベルに載せ切れない情報と共にご紹介したいと思います。

1種9亜種だとされていましたが、2025年のIUCNの見解で4つの種に分けられそうなキリン。
この分類に従えば、当園で飼育しているキリンの種名は「アミメキリン」となります。
その名のとおり、赤褐色地に橙~白色の網目模様が特徴です。

急に立ち上がると、立ちくらみを起こした経験のある方、多いと思います。
これは、血液が、重力によって脚や体幹の静脈に溜まることで起こる現象。
血液が移動すると血圧が下がり、心臓から脳へ送り出される血流量が減り、めまいが起こるのです。
体長2m程度のヒトですら発生する現象ですから、縦に長いキリンもめまいに苦しみそうなもの。
特に水を飲むときには頭を下げますから、そのあと頭を上げるときに立ちくらみで転ぶこともあるのではと思いきや…
実は、キリンの皮膚は分厚くなっており、体表から内部を加圧することで血圧低下を防ぐ、パイロットの耐圧スーツのような役割を果たしています。
このため、急に頭を上げたり立ち上がっても、立ちくらみになりにくいようです。

こんな説明をしながら児童の方にキリンの皮革標本を触ってもらうと、「だからこんなに硬いんだ!」とコメントをいただきます。
ごめんなさい、硬いのはなめし加工をしているからです。

当園でのアミメキリンの飼育は1943年に始まりました。
現在は5頭を飼育しており、グラウンドで思い思いに過ごす様子をご覧いただけます。

土佐