生き物・学び・研究センターブログ
2026年7月11日(土)標本棚のラベル裏051 イノシシ(性別及び年齢不明、頭骨)
動物が死亡した後は、教育普及・研究を目的として、標本を作製し保存しています。
このブログでは、現存する所蔵標本を、ラベルに載せ切れない情報と共にご紹介したいと思います。

イノシシはヨーロッパからアジアにかけて生息する鯨偶蹄目の一種。
現時点での分類では、日本に生息するイノシシは、亜種ニホンイノシシ、及び亜種リュウキュウイノシシになるようです。
本州に生息する哺乳類としては大型で、 体重は通常60〜100kg程度ですが、大型のオスでは180kgを超える個体もいます 。
草食傾向の強い雑食性で、植物だけでなく、ミミズや昆虫類も食べることがあります。
この食性を反映し、臼歯は我々と同じ滑らかな丘状の歯(丘状歯)になっています。
同じ「平らな歯」の中でも、ウシのような月状歯や、ウマやゾウなどの稜状歯などと構造が異なっている点が面白いですね。

また、イノシシ及びブタに特有の特徴として、吻鼻骨があります。
これは鼻中隔の一部が変化した骨で、鼻の物理的剛性を高めています。
鼻で土を掘り返すイノシシの仲間ならではの特徴なのですが、残念ながらこの標本には付属していませんでした。
イノシシやブタの頭骨を組み立てるチャンスに出会った方、歯槽に入らない骨があっても捨てないでください。
それは、鼻を構成していた骨かもしれません。

オスにおいては犬歯の根元(近位端)が形成されず、一生伸び続ける、という特徴があります。 上顎と下顎の犬歯が擦れ合うことで、常に鋭い状態を保つことができます。
この標本は、犬歯の長さや頭骨の形状からはメスであるように見受けられるのですが、登録上は10歳のオスとなっています。
おそらく記録の誤りなのではないかと考え、年齢及び性別不明、とさせていただきました。
土佐
参考資料;
- 山内昭二、杉村 誠、西田隆雄 監訳(2003):獣医解剖学<第2版>:764pp.近代出版,京都.
