生き物・学び・研究センターブログ

2026年9月23日(水)(チンパンジーのお勉強)勉強部屋の模様替え

「チンパンジーの勉強部屋」ですが、いつもと違うのに気が付きましたか?

こちら↓が以前の勉強部屋です。

タッチモニターの位置がパネル1枚分、変わっています。

それともうひとつ気付いたでしょうか?

チンパンジーがタッチモニターに触るために手を入れる開口部がなくなりました。

「それでどうやって画面に触るの?」...と思われると思いますが、

画面に直接触れなくても反応する「非接触式」タッチモニターを導入しました。

京都市動物園のチンパンジーたちには、2009年から「チンパンジーのお勉強」として、画面に提示した数字に直接触れて、数字の順番を覚える学習課題に参加してもらっています。(お勉強アーカイブス

使っているタッチモニターは、人間用のものなので、力の強いチンパンジーに触らせる以上、ある程度の損耗は覚悟の上で始めました。(毎年の研究費の使用計画に、新しいタッチモニターの購入費用を含めていました)

しかし、実際に始めてみると、チンパンジーたちがタッチモニターを壊そうとすることはなく、また、タッチモニターも予想以上に丈夫で、チンパンジーたちが多少強く画面を叩いても壊れることなく、使い続けることができました。

今使っているタッチモニターで一番古いものは、10年以上使っています。

中央でニイニが触っているモニターが、10年以上使っているタッチモニター

それでも、チンパンジーが直接触れるのですから、まったく無傷というわけにはいきません。これまでの数年に1台程度は壊れて、その度に新しいモニターに交換してきました。

しかし、このずっと使い続けてきたタッチモニターのメーカーが2026年3月で製造販売を終了したため、今後同機種のモニターを入手できなくなりました。(「お勉強」を継続するために、何台かの予備のモニターは確保しています)

そしてそんな時期に、今年8歳になったチンパンジーのロジャーが、自分の力を見せつけるための誇示行動の向け先として、普段彼がよく使っていたタッチモニターに狙いをつけ始めました。

タッチモニターの画面に向けたロジャーの誇示行動

「多少」強く叩いたくらいでは壊れなかったタッチモニターも、正面からまともにパンチされればひとたまりもありません。

こんなことが毎回起こるわけではなく、ふだんはロジャーも熱心に勉強してくれています。

1から14までの数字の順番を覚えつつあるロジャー

予備に取っておいたモニターもあと2台になり、いよいよ根本的な対策として、直接チンパンジーが触らなくても反応が取れるモニターを導入しました。

非接触式モニターの存在は数年前から知っていて、それが20ミリのアクリル板越しでも使えることもテストしてわかっていました。しかし、触っているのに反応が取れないこともあったり、モニターが触っていることを検知するのに少し時間がかかったりして、直接触るのとはやはり違和感がありました。

そのため、テストだけして、すぐに使うことはなかったのですが、いよいよこのタイミングしかないということで、導入を決断し、既存のタッチモニターを取り付けていたパネルを外して、最初の写真のような仕様に変更しました。

なお、ここからはチンパンジーがどう反応するかによって、更に仕様変更しなければならない可能性もあるので、現状はタッチモニターを仮留めしている状態です。

これまでのモニター入れていたパネルと比べると心配になるかもしれませんが、モニターとチンパンジーとの間には20ミリのアクリル板がありますから安全性に問題ありません。(この機会に、「お勉強」を制御していたパソコンも新しくしました。)

さて、あとはチンパンジーがどう反応するか、誰が新しい装置に一番先に慣れてくれるかを見るだけなのですが、このような新しい装置を使った研究を行うためには、京都市動物園では「研究倫理審査」を受けて、承認を得なければなりません。(詳しくは、京都市動物園HP_「調査研究を希望される方へ」をご覧ください。)

承認が下りるまで、「チンパンジーのお勉強」をお休みさせていただいていますが、再開する日がきまりましたら、京都市動物園HPやお勉強部屋の前の掲示などでお知らせしますので、しばらくお待ちください。

田中正之