救護センターブログブログ
2021年8月11日(水)長元坊(チョウゲンボウ)
7月は衝突したと思われる野鳥の持ち込みが多かったのですが,なかでも心に残っているのがチョウゲンボウです。
まん丸い頭と,ハヤブサ科ならではの黒目がちなクリクリの目をした小さな猛禽です。
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「昨日から,じっとしていました」と運ばれてきました。
何かにぶつかったのでしょう。立つことすらできず,力なく横たわっていました。
足指もだらんと閉じた状態でした。
足や翼に骨折がなかったのが,不幸中の幸いです。
足を持って体を起こすと,翼を広げて羽ばたきました。
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目にも精気が感じられたので,立てるようになれば放野できると,期待に胸をふくらませたものです。
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寝たきり状態なので,ネットを張った木枠をベッドにして段ボール箱を乗せ,床ずれ防止策をとりました。
羽に付いたフンもぬるま湯で拭き取ると,サッパリしたようでした。
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チョウゲンボウは毎日の注射も頑張り,差し餌の肉片もパクパクと食べてくれて,体重も増えてきました。
体は腹ばいのままでしたが,横倒しだったのが,上体を起こせるようになりました。
力なく閉じていた足指も開くようになり,片足はギュッと物をつかめるようにもなっていました。
良い兆候。このまま好転していけば,きっと。
両足で立てるようになったら…。両足指でギュッとつかめるようになったら…。
そう思って,止まり木付きの段ボール箱ケージを用意し,いつでも次のステップに上がれるように準備を整えました。
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休み明けの朝,チョウゲンボウがすでに亡くなっていたことを知りました。
放野できるかもと希望を持っていたので,残念でなりません。
できる限りのことをしたつもりだったけれど,何が足りなかったのか,野鳥看護の難しさを感じました。
野生鳥獣救護センター よしかわ