救護センターブログブログ

2025年12月10日(水)ジョウビタキの災難。粘着シートは屋内使用を!

野生鳥獣救護センターです。
続々と冬鳥がやってくる時期です。バードウォッチングをしていると、冬鳥をよくみかけるようになりました。
長い旅路を終えて、やっとの思いで日本に辿り着いたいわば試練を乗り越えた強い個体たち。
そんな歴戦の猛者でも事故に遭う事があります。

長距離移動で疲弊した体には休息と栄養が必要です。食べられそうなものがあれば飛びついてしまいます。よくよく考えたらなにか変だぞと思った時には時すでに遅し、鳥も急には止まれません。罠に一直線に飛び込んでしまう形に…


こちらの画像は昨年度、動物園SNSに投稿したところ、大きな反響を呼びメディアにも取り上げていただき普段動物園や救護センターとは縁の遠い方の目にも留まり普及啓発の一件となったジョウビタキ(オス)です。


こちらの画像は同時期に搬送されてきたジョウビタキ(メス)です。

ジョウビタキは愛鳥家の間ではジョビ男、ジョビ子と親しまれている身近な小鳥です。翼の白い模様が特徴的で、「紋付き鳥」と呼ばれることもあります。食性としては昆虫食寄りの雑食の小鳥です。
2羽は別地域ですが、いずれも屋外に設置された粘着シートに張り付いてしまいました。粘着シートにはジョウビタキが好む昆虫が付着していました。空腹の小鳥にとっては魅力的に見えたのでしょう。

ジョウビタキ(オス)の経過は以下をご覧ください。2025年1月13日の各種SNSです。複数回の洗浄処置を乗り越えて、自然に帰る様子も確認できます。

X(Twitter)
https://x.com/kyotoshidoubut1/status/1878584311680815237?t=HyvmmNKYpM48F8nnJqTfow&s=19

Instagram
https://www.instagram.com/p/DEvm52NhyBX/?igsh=YXltOHcyb2U3dWM5

Facebook
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=pfbid0XPn9iHCoJNk6GNisJ3RKFG7QPCqbaNCtBUT9gaubVZXMLvRLsfSVNYPHpx2tAKgRl&id=100063691293610



ジョウビタキ(メス)の治療もオスと同じく、一気に粘着物を落とす処置を行うには体力が持ちませんので、段階を踏みながら少しずつ行いました。

とりあえず粘着シートから外します。すでに粘着シートから逃れようとかなり暴れたようで、胸部の羽毛が半分ごっそり抜け、ぐったりしていました。眼光も弱弱しいです。

左側がツルツルの地肌丸見え状態に…これでは低体温をきたします。冬の寒い期間を生き抜くのは厳しい状態ですので、洗浄を行いつつ羽毛が生え揃うのを待ちました。体力の回復と羽毛を再生するのに膨大なエネルギーが必要となります。暖かい室内で飼育管理し、栄養を十分に摂ってもらいました。



2回目の洗浄後。少し念入りに洗浄したためジョウビタキはちょっと疲れてしまいました。尻もちをついたような踵をつけて立つ跗蹠(フショ)立ちに…。この後保温し十分に休息をとらせると回復しましたのでホッとしました。羽毛はだいぶふんわりと、また、新しい羽毛も少しづつ生えてきました。



3回目の洗浄後。かなりきれいになりました。羽毛も生え揃い野生に帰る準備が整いました。
このジョウビタキ(メス)は羽毛が生え揃うのを待っていたためやや長期間の救護センター暮らしとなりましたが、なんとか渡りにも間に合う2025年3月10日に放野のはこびとなりました。


LUCK!(幸運を) PLUCK!!(勇気を!)

今年度は現在のところ、粘着シート事故に遭った野鳥はイソヒヨドリの1件のみです。イソヒヨドリは助かりませんでした。どうか皆様、粘着シートは屋内使用にとどめてくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。そしてやむを得ず屋外で使用する場合は、こまめな巡視をお願い申し上げます。


野生鳥獣救護センター みやがみ