救護センターブログブログ
2026年2月4日(水)事例紹介。交通事故に遭ったトビ。鳥の理学療法について。
野生鳥獣救護センターです。
救護センターブログやSNSではお馴染み、トビ(学名Milvus migrans 英名Black Kite)の事例紹介です。
「車で轢いてしまいました」と当事者さんが搬送してくださいました。安全運転をしていても、車は急に止まれない、鳥も急に止まれない…で車両のボンネットに衝突したとの稟告でした。
多くのケースが鳥獣と衝突しても救助されず、他の人が発見…というケースです。そんな中、放置せず即座に搬送してくださった、大変ありがたく思いました。

ぐったりとして身動き一つしないトビ。翼は不自然な向きに折れています。レントゲン撮影を行いましたところ、左尺骨と右鎖骨の骨折を認めました。整復すると、幸いなことに骨は折れたもののあるべき位置に留まっていましたので、安静療法で経過を見ることとなりました。

リハビリの話題が出るたびに、もしかしたら「鳥のリハビリなんてどうやるの?」と思われている方がいたかもしれません。そこでリハビリについて、少し説明してみることにします。

リハビリには大きく分けて2種類あります。ひとつは鳥自身が体を動かし歩く、飛ぶ等の感覚を思い出し自身で動くもの。そしてもうひとつは、他者が他動的に鳥の体を動かし関節可動域の拡大や拘縮予防の運動を行うもの。その手技は野生動物リハビリテーター実務講習内容に基づいて実施しています。

手や足、翼の形や構造は異なれど、骨や関節、筋肉の作りは似たようなものです。それぞれに役割がありそれぞれの可動域がある。鳥の体の解剖生理を熟知したうえで、理学療法を行っているというわけです。今回のトビも人間の理学療法を応用した他動的伸展運動(曲げ伸ばし)、温罨法(ホットパック)を行いました。

トビの理学療法は人のそれよりも短時間で行います。なぜならトビ(鳥)は人に見られること、触れられることに大きなストレスを感じてしまうからです。さらに一回を長時間行うよりも、複数回短時間を継続的に行うほうが効果的でもあるからです。鳥のストレスを鑑みながらの実施ですので無理はさせません。
今の状態確認(どこまで関節が動くのか等)、伸展運動、クールダウン…それぞれ数分ずつで15分以内にとどめました。

毎日のリハビリでトビは少しずつ関節や翼膜が柔らかくなり、拘縮は少し残存したものの、野生で生きていけるレベルまで回復しました。十分な栄養と休息も取り、トビは自然へ帰ることとなりました。自然に帰す前に汚れていた翼や尾羽をきれいに洗浄し、また折れてしまった尾羽は小道具を使用して継ぎ(インピング)、まっすぐきれいに整えました。
自然界は厳しいけれど元気でね!もう事故に遭わないように気をつけて!と送り出しました。
皆様も安全運転をお願いいたします。

LUCK!(幸運を) PLUCK!!(勇気を!)
Live long and prosper!(長寿と繁栄を!)
野生鳥獣救護センター みやがみ
