飼育員ブログブログ

2025年3月27日(木)あのね!どうして!? 手紙編

 皆さんは動物園に「ご意見箱」があるのをご存知ですか?
 2006年10月から、そのご意見箱に寄せられた動物に関する質問にお答えする「あのね!どうして!?」を始め、今年で19年になります。
 今回は、ご意見箱ではなく、手紙で質問が届きましたので、手紙編としてお答えしようと思います。ただし、ご意見箱と同様で、すべての手紙にお答えできるものではないので、その点はご了承ください。
 ちなみに、ご質問いただいた内容は本園のゴリラたちについてで、ゲンタロウとモモタロウの関係性やゲンキの発情と妊娠などについてです。
 まず最初に、本園では動物たちが心身ともに健やかに過ごせるよう、日々の観察を通して配慮を重ねながら飼育に努めております。その上で、ゴリラの生態や習性を理解し、飼育環境や食事、健康管理、個体ごとの性格に応じた対応など、専門的な視点から総合的に考え、最適な方法を模索し続けていることをご理解いただければ幸いです。
 ご心配いただいているモモタロウとゲンタロウの関係性につきましては、十分に状況を把握し、個体の成長や群れの関係性を考慮しながら、適切な対応を進めているところです。具体的な取組につきましては、飼育担当者が作成している「新ゴリラ日記」(Vol.83、93)やSNSなどを通じて、随時発信させていただいているところですが、夜間、日中ともに使用する場所を分けて飼育管理することも始めています。

 また、国内のゴリラ飼育園館とも、(公社)日本動物園水族館協会(JAZA)の生物多様性委員会・ゴリラ計画推進会議の中で情報交換を行いながら協議を進めているところです。
 現在の状況も含め、モモタロウとゲンタロウがそれぞれの成長段階において適切な環境で生活できるよう、引き続き細やかに観察を続け、必要に応じて環境の調整を行ってまいります。

 次にゲンキの発情・妊娠についてですが、今年1月に6年9か月ぶりにゲンキの発情が回帰し、モモタロウとの交尾も観察されました。その後、2月、3月にも発情があり、交尾に至っております。

 そうした中、ゲンキの妊娠・出産に関するご不安についてですが、本園としては第3子誕生に向けて繁殖に向けて取り組みたいと考えております。ゲンキは今年で39歳を迎えますが、世界的には40歳を過ぎて出産している個体もおりますし、健康管理面に関してもハズバンダリートレーニングを継続して行っており、さまざまな状況を考慮しながら準備を進めてまいります。

 これからも動物たちにとって最善の環境を提供するとともに、来園者の皆様にも動物の魅力や生態を知っていただけるよう努めてまいりますので、今後とも温かく見守っていただけますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 園長 和田