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2026年4月25日(土)「みんなで池干し2026 in動物園」

2026年3月14日に「みんなで池干し2026in動物園」 を開催しました!
一般の参加者約60名と職員20名ほどでの大がかりな作業となりました。

池干し作業中の様子

そもそも池干しとは、池の水をくみ出し、泥をさらい、魚などの生物を捕獲し、池の底を天日に干す日本の伝統的な池の管理方法です。
池干しは池の水質改善や外来種の駆除のために行います。
富栄養化といって、水の中の栄養(窒素やリン)が増えすぎて水質が悪くなる現象が起きるとアオミドロなど、藻類が大量発生してしまいます。
また、 光合成によって池の水がアルカリ性に傾くことによって、生き物が暮らせなくなったり、他の水生植物(ヨシ)の生育を妨げたり、死滅するとヘドロ状に蓄積したりします。
そこで、定期的な池干しにより水質と底の改善を目指します。
池干しによって、水の中の栄養、池の底の窒素は空気中に発散し、リンは水に溶けだしにくい形に変化します。
こうして水中の余分な養分が減るようにします。

みなさん、イチモンジタナゴという魚はご存知でしょうか?

オスのイチモンジタナゴ
メスのイチモンジタナゴ

京都の森展示室で展示している京都市動物園唯一の魚類です。
名前の通り、タナゴの一種で、イチモンジタナゴは環境省のレッドリストでは絶滅危惧IA類、京都府のレッドデータブックでは絶滅寸前種に指定されている魚です。
本来琵琶湖で生息していたのですが環境の変化によりほとんど見られなくなってしまいました。

噴水池の話に戻します!
噴水池は1903年の開園当初からあるランドマークのひとつです。
水は1890年に完成した琵琶湖疏水から取っていて、この噴水は取水口のある蹴上ダムとの高低差(36m)を利用し、動力なしで吹き上がっているエコな噴水です。
琵琶湖の水と言いましたが、動物園では琵琶湖の水の恩恵をたくさん受けています。
水をたくさん使う動物園にとって、琵琶湖の水を使うことができることはとても助かることで、ゾウのプール、カバのプール、ペンギンのプールなどいろいろなところで利用しています。
絶滅危惧種のイチモンジタナゴですが、琵琶湖疏水でつながる京都市動物園近隣の平安神宮神苑の池には一部の個体が生息しているのです。
そこで、平安神宮の個体をファウンダー(創始個体)として動物園では繁殖を試み、野生への再導入を目指すとともに、平安神宮への補強放流を実施したり、「守れ!イチモンジタナゴプロジェクト」などの教育普及活動を行っています。
イチモンジタナゴは二枚貝に卵を生む面白い生態をもつ魚です。
イチモンジタナゴが生きていくためには貝が生きられる環境を作ることが大切で、底が泥だらけの場所では貝は生きてけないのです。
また、貝が生きていくためにはヨシノボリという魚が暮らしていける環境が必要になります。こうしていろいろな要因が繋がった先にイチモンジタナゴが生きる環境を作ることができるのです。
この噴水池の水は琵琶湖疏水。いつかこの噴水池でイチモンジタナゴが生きることができる環境を作ることが私たちの目標です。

今の噴水池にはアメリカザリガニやウシガエルといった外来種がいます。
外来種そのものが悪者ではなく、私たち人間によって連れてこられてしまった被害者でもあるのですが、本来の生態系を崩してしまうため、外来種は駆除する必要があります。
今回の池干しでは、池の底や水質の改善することに加え、水草を切ったり貝を食べたりしてしまうアメリカザリガニ、魚、水棲昆虫など、いろいろなものを食べてしまうウシガエルを駆除することも目的のひとつでした。

今後は外来種の駆除を続けるとともに、様々なデータを蓄積し、まずは貝が生きていける環境を作りたいと思っています。 今回の池干しだけで叶うことではありませんが、根気強くこれらの活動を続けた先にイチモンジタナゴがすめる噴水池を実現できると考えています。

どんな生物がいたのか?についてはこちらをご覧ください!
ウシガエルが1匹(後にもう1匹捕獲しました)しかいなかったこと、アメリカザリガニのサイズがかなり小さくなっていることが今回わかりました。
また、貝が生きる上で大切なヨシノボリ類の数も増えていました!

4月20日に職員で最後にゴミ拾いをして池に水を入れました。約1か月の池干し終了です。

ごみ拾いと最後のザリガニ駆除の様子
ごみは捨てずにお持ち帰りをお願いします!

そして21日にオイカワ、ヨシノボリは噴水池に帰りました。池干し期間中ほとんど死ぬことなく餌をよく食べて過ごしました!

京都の森展示室で展示していたヨシノボリ


生物多様性はいろいろな生物が繋がって成り立っています。
いつか皆様にイチモンジタナゴがすむ噴水池を実現できるよう、これからも努力していきたいと思います。
池干しにご参加いただいた皆様、ありがとうございました!

守れ!イチモンジタナゴプロジェクト担当:櫻井