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2026年5月5日(火)守れ!イチモンジタナゴプロジェクトの近況

毎年実施している「守れ!イチモンジタナゴプロジェクト」。
今年で11年目を迎えました!
それと同時に取り組んでいるイチモンジタナゴの繁殖も2022年から軌道に乗り始め、平安神宮神苑への補強放流も安定して出来るようになってきました。
稚魚の浮上数の変遷はこちら↓

昨シーズン(2025年度)は251尾が浮上し、2025年7月19日にはプロジェクト参加の皆さんと、2026年4月8日には職員で補強放流をすることができました。

当園のイチモンジタナゴは平安神宮由来です。
・同じ水系である
・生態系を崩す心配がない
・平安神宮に申請し、許可をもらった上で、平安神宮の職員の方の立ち合いの元で実施できる
これらの理由から、ここ数年当園で浮上したイチモンジタナゴを平安神宮へ里帰り(補強放流)させています(過去のブログでもご紹介しています)。
※安易な放流は絶対にしてはいけません。

7月の放流では稚魚を84尾、4月の放流では成魚のオス58尾、メス15尾を平安神宮神苑に送り出しました。
4月の放流の際には水中にカメラを入れて当園生まれの個体が平安神宮の神苑に入った瞬間を撮影することができました(映像はこちら)。
4月中旬に行われた平安神宮での調査で、100尾を越えるイチモンジタナゴが確認できたとのことで、今年の繁殖がとても楽しみです。
当園生まれの個体が逞しく育ってくれる事を祈っています。

繁殖は軌道に乗り始めましたが、なぜ増えるようになったのか、どうすると良いのかを明らかにする必要があると考えています。
水温、水質検査など、取れるデータは取りつつ、当園で繁殖に取り組み始めてから何をしてきて、その年の繁殖数はどうだったのか、など過去の記録を遡りながら明らかにしているところです。

その中で、2025年シーズンに「稚魚の浮上数が250を越えたのはこれのおかげではないか?」と思っているのがこちら↓

一見何かわからない筒ですが… これは卵を産み付けられた貝を中に入れて使っているところを上から撮ったものです。
稚魚が浮上し、水面で泳ぎ出すまで守ることが出来る筒になります。
外部の方にアドバイスいただいて設置したのですが、これにより私たち職員が稚魚をすくう前に親に食べられるリスクをかなり減らすことができたようです。
※稚魚は1cmに満たない大きさのため、親個体は稚魚が目の前にいると餌と間違えて食べてしまうことがあるのです。
このサークルを設置してから貝には刺激を与えずに、稚魚を守ることができたのです!
小さな工夫ですが、こういうちょっとした気付きが大切だと感じました。

今年は水中カメラを水槽に設置し、産卵行動を記録してみています。
これからも試行錯誤しながらいろいろなデータを積み重ねてわからないことを解明しつつ、イチモンジタナゴの保全に取り組んでいきたいと思います。

守れ!イチモンジタナゴプロジェクト担当:櫻井