生き物・学び・研究センターブログ
2023年6月21日(水)動物園のチマキザサ
みなさん、「チマキザサ」という植物をご存じですか?
チマキといっても、もち米でつくるものではなくて、祇園祭り用に作る厄除け粽のことで、これを作るのに使う葉の大きなササのことを、チマキザサと呼んでいます。正式な種名をチュウゴクザサ (Sasa veitchii var. hirsuta)と言います。(詳しくは、ポータルサイト「京いきものミュージアム」の特集ページ「チマキザサの再生」をご覧ください。)
京都市動物園でも、2018年に花脊からチマキザサの株を分けていただき、「京都の森」エリアに移植しました。
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移植後、ササなので特別手厚い世話は必要ないだろうと思っていたのですが、なかなか成長してくれませんでした。(植物園の方や、チマキザサ再生委員会の先生に相談すると、土壌の養分が足りないのではないかということでした。
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ここに来て、さすがにこれではチマキザサらしくないということで、本格的に京都市動物園での「チマキザサ再生」に取り組み始めました。とは言っても、動物園なので植物の専門家がいるわけではなく、「きょうと☆いのちかがやく博物館」で連携する京都府立植物園の方や、市の環境政策局の方に教えてもらいながら、化学肥料などは使わず、園内で作っている「ゾウの糞の肥料」や、京都の森ゾーンの落ち葉や雑草を堆肥化させたものを入れながらの日々でした。
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手を掛けた分、育ってくれることを確信できたので、さらにせっせと世話をした結果、背丈も伸び、葉っぱも大きくなってきました
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だいぶ自信がついたのですが、さて、この時点で私自身が「本物のチマキザサ」を知りませんでした。そんなとき、2022年の11月に、花脊の別所地区でチマキザサ再生のための保護区に行く機会を得ました。
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京都市左京区の花脊別所地区で見た「本物のチマキザサ」は、思った以上に大きかったです。そしてそれ以上に驚いたのは、土壌の肥沃さでした。落ち葉が厚く積もったフカフカの地面に感動さえ覚えました。こういうところで、あの大きなササが育つのだと納得しました。そして、動物園でも土づくりにさらに力を入れました。
そして今年のチマキザサがこれくらいに育ちました。
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まだまだ「本物」には、葉の大きさや背丈でかないませんが、去年からの伸びが感じられます。連携している府立植物園では、チマキザサで厄除け粽を作るワークショップをされているのですが、もう少し伸びたら、動物園でも、動物園で採れたチマキザサの葉で同様のワークショップをやりたいと思っています。
田中正之