生き物・学び・研究センターブログ

2025年4月7日(月)標本棚のラベル裏001 キリン(全身分離骨格標本)

京都市動物園は1903年の開園以来、様々な動物を飼育してきました。
動物が死亡した後は、教育普及・研究を目的として、標本を作製し保存しています。
このブログでは、現存する所蔵標本を、ラベルに載せ切れない情報とともにご紹介したいと思います。

初回に紹介するのはキリンの全身分離骨格標本。
キリンの骨格標本組立に使用しているため、実際に触れたことのある方も多いかもしれません。

亜種、性別、個体の差はありますが、最大で、身長5.5m、体重1.950kgに達します。
5m超は、2階建てのビルと同じ高さ。
ホルスタインのオス牛の身長が1.6m、体重が1.100kgであるため、身長は約3倍、体重は約2倍程度。
家畜種の中ではウシが遺伝的に近く、診療においてはウシの手技や薬用量を準用することがあります。

四肢の骨は太く長くなっており、全身を展開とレクチャールームの半面を覆うほど。
頭骨を前面から見た場合、ウシと同様に、上顎の門歯及び切歯がありません。
しかし、食性はウシと異なり、木の葉や芽など高蛋白質な餌を必要とします。
このため、当園では、キリン用に蛋白質が調整されたペレットを与えています。
2本の主角の根元には、頭蓋骨と癒合した痕跡の縫合線が見えます。
これらの骨は、産まれたときには頭蓋骨と分離した状態で内側に折りたたまれており、これは出産の際に角が引っ掛からないようにするためだとされます。

本標本は1998年まで飼育していたメス、貴船(キブネ)のもの。
若王子、船岡など、多くの子を産んだ個体です。
現在飼育してる当園生まれの個体も、山の名前をつけるという伝統を受け継いでいます。

土佐