生き物・学び・研究センターブログ
2025年5月10日(土)標本棚のラベル裏006 カバ(頭骨)
京都市動物園は1903年の開園以来、様々な動物を飼育してきました。
動物が死亡した後は、教育普及・研究を目的として、標本を作製し保存しています。
このブログでは、現存する所蔵標本を、ラベルに載せ切れない情報とともにご紹介したいと思います。

カバの頭骨は、上顎と比べて不釣り合いなほどに大きい下顎が特徴です。
また、他の動物と比べると、上顎の眼窩は頭の後方の高い位置にあり、水面から、鼻、眼、耳を出して外の様子をうかがうのに適した構造をしています。
これは、近縁種のコビトカバと比べても大きな違いであり、森林性のコビトカバに比べ、カバが水中生活に適応した動物であることを示しています。
また、草食動物の特徴である、磨り潰す形状の臼歯を持っています。

前方から見た写真上では、左の下顎犬歯が途中で研磨されていることが分かります。
現在飼育している個体であるツグミのように、歯の研磨を行っていたのかもしれません。
当該個体は個体番号0002F。
1956年に来園し、1991年まで飼育されていた個体でした。
多くの個体を産んだカバであり、ツグミはその末子に当たります。
土佐