生き物・学び・研究センターブログ
2025年7月19日(土)標本棚のラベル裏016 チョウセンオオカミ(頭骨)
京都市動物園は1903年の開園以来、様々な動物を飼育してきました。
動物が死亡した後は、教育普及・研究を目的として、標本を作製し保存しています。
このブログでは、現存する所蔵標本を、ラベルに載せ切れない情報と共にご紹介したいと思います。

チョウセンオオカミはオオカミの一亜種で、ヨーロッパオオカミ、シベリアオオカミとも呼ばれます。
ほかのイヌ科動物と同じく、歯式は上顎3/1/4/2、下顎3/1/4/3。
口を閉じたときに犬歯が組み合わるようになっています。
上顎の最後前臼歯は大きく、下顎の第一後臼歯とかみ合うことで生肉をかみ切る鋏のような役割を果たしており、裂肉歯というそのままの名前が与えられています。
標本の頬にある斜めの線は、割れた跡ではなく、骨と骨とが癒合している場所。
側頭骨と頬骨の接合部であることから、側頭頬骨縫合という名称がついています。
初めて見たとき、標本にひびが入っているのだと勘違いしてしまったのは、今では良い思い出です。

表面の黄色はニスによる着色で、当園では比較的古い標本によく見られます。
この個体の由来は未確定ですが、1986年に来園した0002Fの可能性があります。
0002Fは平壌中央動物園から来園した個体。
残念ながら10か月齢で死亡し、展示期間は短かったようです。
当園ではその後、0002Fとともに来園したオスと、後日来園したウルルの間で、チョウセンオオカミの繁殖に成功しています。
土佐