生き物・学び・研究センターブログ
2026年7月4日(土)(チンパンジーのお勉強)立場が弱くなったコイコ
チンパンジーの勉強部屋です。

勉強部屋に設置した3台のタッチモニターの前には、ジェームスとニイニとローラが座って勉強中でした。後から部屋に入ってきたコイコは、ジェームスの後ろに座って、場所が空くのをまっていました。
しばらく後の配置。勉強する3頭は変わらず。コイコがジェームスの左後ろに移動。

ジェームスがモニターから少し離れて、コイコが空いた場所に入ろうとしています。

コイコはジェームスに対して、遠慮しながら、じわじわとモニター画面の前に移動していきます。

コイコは何度もジェームスを見ます。突然ジェームスが怒り出すのが心配だったのでしょうか。
ようやくジェームスが下がってくれたので、コイコが問題開始。コイコが勉強を始めると、ジェームスは自分から離れていきました。

勉強を始めたコイコですが、今度はニイニが手を伸ばして、コイコがもらうはずだったごほうびの食べ物を横取りしてしまいました。ジェームスがいる間は手を出さなかったニイニが、ジェームスが離れたことで、遠慮がいらなくなったようです。

次の問題で正解しても、やっぱりニイニが当然のように腕を伸ばして、ごほうびを横取りしました。それに対して、コイコは抗議する様子もありません。

つづけてごほうびを横取りされて、コイコの手は止まってしまいました。勉強してもごほうびはもらえないとあきらめてしまったかのようです。やる気をだしてもらおうと、ニイニに横取りされた分のごほうびを、ニイニから離れた方からあげようとしましたが、コイコは手を出さず、けっきょくそれもニイニが取ってしまいました。
そして、せっかく場所が空いたのに勉強することはなく、コイコは離れていき、空いた場所には再びジェームスが戻ってきたのでした。ジェームスは、コイコが残していった1から10までの問題を始めます。1から13までの問題をしているジェームスにとっては簡単な問題。再びやる気を取り戻しました。

このジェームスに対しては、ニイニもごほうびを横取りしたりしません。自分に対して逆らわない個体にだけ、横柄な態度を取るニイニでした。
「チンパンジーのお勉強」を始めた17年前は、コイコはどちらかといえば、気をつかわれる方でした。しかし、ニイニが生まれて育児をしながらとなると、赤ちゃんをかばうためにトラブルになりそうな場面は避けるようになりました。やがてニイニが成長して、自分から勉強部屋に来るようになると、コイコも勉強に復帰しましたが、子どものニイニにごほうびを取られるようになりました。自分の子どもにはとても甘くて、取られ放題だったコイコ。その関係はニイニが成長していっても変わりませんでした。やがて、ニイニは思春期を迎え、そして力を付けて群れの第一位オスになると、力関係でコイコはニイニに逆らえなくなってしまいました。
残念ながら、チンパンジーたちに敬老の気持ちがあるようには見えず、年齢的な衰えも見られてきて、コイコの立場は弱くなってしまいました。群れの他個体に気をつかいながらですが、コイコはまだまだ元気に暮らしています。

