生き物・学び・研究センターブログ

2026年9月16日(水)標本棚のラベル裏055 マンドリル(オス11歳以上、頭骨標本)

動物が死亡した後は、教育普及・研究を目的として、標本を作製し保存しています。
このブログでは、現存する所蔵標本を、ラベルに載せ切れない情報と共にご紹介したいと思います。

今回は、以前毛皮標本をご紹介したマンドリルの頭骨について。
個人的には、今まで動物園で見た中でも、最も驚いた標本の一つです。
オスに特徴的なあの鼻筋の膨らみ、皮膚や筋肉によるものだと思い込んでいたのですが、骨の隆起だったのですね。

もう一つ、オスの頭骨で特徴として挙げたいのは、その巨大な上顎犬歯。
オスのマンドリルは、この長さが約30mmを超えると子孫を残すことができるようになるそうです。
性選択の結果と思われるこの犬歯、当然ながら摩耗して短くなっていきます。
このため、オスの繁殖機会は、この犬歯が一定の長さを超えている期間に限られるとか。

このほか、マンドリルの雌雄間には非常に大きな体格差も存在します。
頭殿長(頭から臀部までの長さ)で比較した場合、オスはメスの1.3倍、体重比では3.4倍。
これは、オスが、メスより3~4年遅れて身体的に成熟することに起因しています。

当園では成獣の雌雄を展示していますので、是非生きている動物を見に来ていただけると嬉しいです。

この標本の由来は、1961年来園の0004M。
当園で長く飼育していた0027Mマンゴローの祖父に当たります。
かつて当園で飼育していた、マンジュウロウ、マンドリン、マンマル、ランマン、ロマンなどは、この個体のひ孫です。

土佐

参考資料;

  • Leigh, S. R., Setchell, J. M., Charpentier, M., Knapp, L. A., and Wickings, E. J. (2008): Canine tooth size and fitness in male mandrills (Mandrillus sphinx). Journal of human evolution, 55(1), 75–85. https://doi.org/10.1016/j.jhevol.2008.01.001
  • Setchell, J. M., Lee, P. C., Wickings, E. J., and Dixson, A. F. (2001): Growth and ontogeny of sexual size dimorphism in the mandrill (Mandrillus sphinx). American journal of physical anthropology, 115(4), 349–360. https://doi.org/10.1002/ajpa.1091