生き物・学び・研究センターブログ

2025年10月13日(月)標本棚のラベル裏027 マンドリル(皮革標本)

京都市動物園は1903年の開園以来、様々な動物を飼育してきました。
動物が死亡した後は、教育普及・研究を目的として、標本を作製し保存しています。
このブログでは、現存する所蔵標本を、ラベルに載せ切れない情報と共にご紹介したいと思います。

明るい色の大きな鼻や、オスの赤い皮膚、紫と桃色の陰嚢と、色彩豊かなマンドリル。
この色合いは、血液の色や構造色で構成されています。
鮮やかな色味に目を奪われがちですが、灰色がかった褐色の皮革も非常に美しい色をしています。
また、顎周りに黄色の顎髭があり、腹側は白色。
毛は細く長く密集しており、体全体を美しいグラデーションで覆っています。

マンドリルの群れは安定した母系社会で、オスは繁殖期に群れに参加します。
京都市動物園では、オスの成獣1個体とメス個体で飼育しているため他のオス成獣と比較できていないのですが、最も優位なオスでは顔と尻の赤みが増し、顔の赤青のコントラストがより強くなるそうです。
これらの色彩は、メスを惹きつけるうえで、有利になっていると考えられます。

京都市動物園ではマンドリルの皮革標本を2点収蔵しています。
この標本は、1990年から20年間飼育していたマンゴロウ「ではない」方の標本。
現在のマンドリルの最新個体番号は0030なので、1931年の導入からこれまでに飼育した30個体のうち、死亡したいずれかの個体になりますが、確定できていません。

土佐