生き物・学び・研究センターブログ
2026年10月1日(木)標本棚のラベル裏056 ニシアフリカコガタワニ隠蔽種(オス30歳以上、頭骨標本)
動物が死亡した後は、教育普及・研究を目的として、標本を作製し保存しています。
このブログでは、現存する所蔵標本を、ラベルに載せ切れない情報と共にご紹介したいと思います。

今回は、最近完成した一番新しい標本、ニシアフリカコガタワニの隠蔽種。
近年の研究で、ニシアフリカコガタワニの中に、隠蔽種(これまで同種とされてきたが別種であることが分かった種)が存在することが明らかになってきました。
この標本は隠蔽種由来ですが、今回のお話としては、ニシアフリカコガタワニの特徴を記載させていただきます。
現生ワニ類は、大きくアリゲーター科、クロコダイル科、及びガビアル科に分かれます。
これらワニ類に共通する特徴の一つが、皮骨板の凹凸模様。
機能については、日光浴の効率向上、骨の強度向上、皮膚呼吸の改善、血液アシドーシスの緩衝など様々な仮説が存在しますが、いずれにしても、この凹凸には表面積を増大させる利点があります。


眼瞼の上部に骨(眼瞼骨)が存在することも、ワニ類の特徴。
他にはトカゲ類などが持つこの骨、眼窩上部に存在し、眼の上部の強度を高めています。

ニシアフリカコガタワニの歯は、生えている位置で形状が大きく異なります(異歯性)。
写真の左側が口の先端側、右側が喉側の歯。
喉側の歯が太く先端が丸く、哺乳類の臼歯のようになっています。
ニシアフリカコガタワニの異歯性の発達は、殻をもつ軟体動物や甲殻類を食べることに関連しているとされます。
なお、ワニ類の歯は、口の前後で形状がほとんど変わらないものから、形は同じだが大きさが異なる、あるいは形状も大きく異なるなど様々なタイプがあるとされており、ワニ類が同歯性か異歯性かについては、学術的にも議論になっています。
この標本の由来は、1994年来園の0018Mノック。
長く当園で飼育していましたが隠蔽種であることが分かり、同種メスとの繁殖を目指してアクア・トト ぎふに移動しました。
残念ながら繁殖には至りませんでしたが、長く飼育下にある種でも、新たな発見があることを教えてくれた個体でした。
土佐
参考資料;
- Clarac, F., Souter, T., Cubo, J., de Buffrénil, V., Brochu, C., and Cornette, R. (2016): Does skull morphology constrain bone ornamentation? A morphometric analysis in the Crocodylia. Journal of anatomy, 229(2), 292–301.
https://doi.org/10.1111/joa.12470 - D’Amore, D. C., Harmon, M., Drumheller, S. K., and Testin, J. J. (2019): Quantitative heterodonty in Crocodylia: assessing size and shape across modern and extinct taxa. PeerJ, 7, e6485. https://doi.org/10.7717/peerj.6485
