生き物・学び・研究センターブログ
2026年10月5日(月)標本棚のラベル裏057 エゾヒグマ(メス年齢不明、頭骨標本)
動物が死亡した後は、教育普及・研究を目的として、標本を作製し保存しています。
このブログでは、現存する所蔵標本を、ラベルに載せ切れない情報と共にご紹介したいと思います。

日本の野生下で最も巨大な陸生哺乳類であるエゾヒグマ。
遺伝的変異の研究から、北海道中西部、頭部、南部の個体群に分けられます。
これらは大陸で分岐した後に、個別に北海道に渡来した可能性があるとされています。
分類学的には、ヨーロッパから西シベリア、北アメリカにまで広く分布するヒグマの一亜種であり、映画で有名なハイイログマ(グリズリー)と同種になります。
クマの仲間は、性的二形が顕著で、雌雄で頭骨の形状が異なることが知られています。
例えばこの標本のようなメスでは、頭頂部の盛り上がり(矢状稜)が見られません。

眼窩は、トラなどの肉食動物やゴリラなどの霊長類と比べるとより側方に位置しています。
両眼視のできる範囲は狭くなる一方、より広い範囲を視認することが可能です。
クマの仲間は、その食性によっても、頭骨の形状が異なることが知られています。
次回はホッキョクグマをご紹介しますので、是非見比べていただければと思います。
土佐
参考資料;
- Masuda, R., Amano, T., and Ono. H. (2001):Ancient DNA Analysis of Brown Bear (Ursus arctos) Remains from the Archeological Site of Rebun Island, Hokkaido, Japan. Zoological Science, 18(5), 741-751.
- Ruzhanova-Gospodinova, I. S., Vladova, S., Szara, T., Tandir, F., Szara, E., Yalin, E. E., and Gündemir, O. (2024): Morpho-Geometric Description of the Skulls and Mandibles of Brown Bears (Ursus arctos) from the Dancing Bear Belitsa Park. Animals, 14(17), 2541. https://doi.org/10.3390/ani14172541
