救護センターブログブログ

2025年10月7日(火)2025年度上半期総括

野生鳥獣救護センターです。
早いもので2025年度も上半期が終わりました。
上半期の救護センターを振り返ってみたいと思います。

放野したツバメ。事例紹介はのちほど!


上半期(4~9月)は鳥類12種24羽、哺乳類2種2頭の持込みがありました。

転帰は
放野 12(46.2%)
死亡 11(42.3%)
安楽死処置 3(11.5%)
となりました。
また、昨年からの持ちこしで引渡が1例ありました。


野生に帰っていったメジロです

搬入原因としては人工物による衝突・転落が6例、動物による襲撃が4例、絡まり事故によるものが3例、交通事故が1例、不明が12例でした。受傷原因不明の個体の臨床所見、解剖所見からは人工物による衝突が推測される事例が多く見られました。

よく言われる「放野できるケースは3割程度」と比較するとやや高い数値です。速やかな搬送、適切な治療とリハビリ、適切な放野タイミングの決断等が影響しているように感じました。市民の皆様の協力あってのものだとも思います。ありがとうございます。
しかしながら、できうる治療を行っても死亡してしまった個体や、手の施しようがない個体もおり、動物福祉的な観点から安楽死処置を選択する場面もありました。
野生に帰ることができた個体には、今後も生態系の歯車となって活躍してもらいたいと思います。亡くなった個体には記録として今後の治療や看護、事故予防の啓発のデータの中で今後も生き続けてほしいと思います。

「死」はタブー視されたり、「死んだら終わり」とネガティブに考える方もいるかもしれません。しかし、実は「死」はそれでおしまいではありません。続きがあるのです。個体の命としては終わっても個体が生きた証は残ります。血液検査結果やレントゲン写真、個体の画像、羽毛や骨格等様々なデータが生き続けます。確かに個体が死亡すると大変悲しい気持ちになります。が、担当者は悲しいで終わらせず今後の治療や看護、リハビリに生かしていくよう尽力しています。とはいえ辛い時は辛いですけどね。
これからも精進してまいりたいと思います。

死亡したカルガモです

かたやどれだけ人災であろうとも受入できない鳥獣が指定されています。農業被害や生活被害がある等様々な理由で救護対象より除外されているものです。大変もどかしい思いで相談対応等をしている現状です。何卒ご理解ください。

救護事業は個体を助け野生に帰すだけが目的ではありません。救護個体は自然界からのメッセンジャーですので、個体からメッセージを読み取り、自然界では何が起きているのかを考え、それを皆様に伝えるという役割があります。それは巡り巡って生物多様性保全に繋がります。自然の恵みを享受することで成り立つ人の暮らしにはなくてはならないものです。いまいちど救護事業について考え、普及啓発に勤しみたいと思います。また、京都市動物園InstagramやFacebook、X(Twitter)も適宜更新してまいりますのでそちらもご覧いただけると幸いです。
今後とも野生鳥獣救護センターをどうぞよろしくお願い申し上げます。

野生鳥獣救護センター みやがみ