救護センターブログブログ

2026年1月24日(土)事例紹介。夏の鳥、アカショウビン

野生鳥獣救護センターです。
前回は秋のオオミズナギドリを投稿いたしましたので、少し時期が前後してしまいますがご承知おきください。
本日は夏の風物詩です。夏といえば何を思い浮かべるでしょうか?祇園祭、猛暑、冷たい食べ物、花火…救護センターではこの鳥、アカショウビンです。昨年も1例搬送がありました。アカショウビン(学名Halcyon coromanda 英名Ruddy kingfisher)はキョロロロロ…となんとも不思議な美しい声で囀り、声は聞こえど姿はなかなか見えぬ、鳥好きにとっては憧れの鳥の一種です。本州では春に飛来し、夏の間子育てをし、秋になる前~秋の始まり頃になると東南アジアやフィリピン、インドネシア等で越冬します。

例年、まだ社会経験の浅い若鳥が何らかの事故に遭い搬送されてくる印象です。今年は1羽搬送されてきました。うずくまったまま動かないとのことでした、診察すると左翼の伸展不全があり、レントゲン検査で左上腕骨近位端横骨折、骨折部位周囲腫脹が確認されました。搬入当日から外部固定(包帯法)による治療を行いました。


ものすごく険しい表情です。人を見ると「ケケケケケ!」と大きな声で威嚇し必死で自分の身を守ろうとしていました。
アカショウビンを知らない人が見ると、「元々こんな感じの顔つきなのかな?」と思われるでしょう。それが違うのです。


野生ではどんな感じかというと…

亜種リュウキュウアカショウビン。撮影・画像提供 宮﨑裕輔氏
亜種リュウキュウアカショウビン。撮影・画像提供 宮﨑裕輔氏

本土に飛来するアカショウビンの亜種であるリュウキュウアカショウビンではありますが、このように大変美しく堂々とした姿をしています。
(リュウキュウアカショウビンは奄美大島等、南西諸島に生息しています)

亜種リュウキュウアカショウビン。撮影・画像提供 宮﨑裕輔氏

足の長さと体幹、嘴のアンバランス感…それも魅力的ですね。人前ではなかなかこんなリラックスした姿は見られません。貴重な一枚です(鳥に配慮し、かなり離れたところから撮影されています)。

表情の違い、気づきましたでしょうか。
アカショウビンは非常に警戒心の強い鳥の一種です。救護センターに搬送されてくるアカショウビンが非常に険しい表情になるのも頷けます。
救護センターでは処置等、鳥にとって「嫌なこと」をする事が多いです。このアカショウビンも例外ではありません。ですので日々の管理をするときも、処置をするときも、ストレスが最小限に留められるよう努めました。

しかしながらこのアカショウビンにとっては救護センターは「ここにいるだけでストレス!」となり、少しづつ体力が衰えていきました。最終的には骨折が治癒することなく心不全で死亡しました。
自力採餌が全く見られなかったため、アカショウビンのストレスにはなるけれど、なにもせず体力が衰え飢えていくのは避けたいとの思いで強制給餌を行っていました。アカショウビンの体力とストレスのかかり具合を慎重に見極めながらの実施でしたが、それでもアカショウビンにとっては負担になっていました。もっと他によい方法はなかったのか、辛い思いをさせてしまったと後悔しました。救護されてくる野鳥のストレス管理について、今一度考え直す必要があると感じました。この個体が教えてくれたことを終わりにするのではなく、この経験を更に昇華していかねばならない、強く思いました。

人に一人一人個性があるように、鳥にも一羽一羽十人十色な個性があります。その個別性に則った治療や看護、管理を日々行っていきたいと思います。

野生鳥獣救護センター みやがみ