救護センターブログブログ

2026年3月17日(火)事例紹介。新天地へ飛び立ったアオバト

野生鳥獣救護センターです。
本日は11月に搬送されたアオバト(英名White-bellied green pigeon 学名Treron sieboldii)の紹介です。路上でうずくまっているところを救護されました。

赤紫色の翼が美しいオスの個体です。

レントゲン撮影にて左上腕骨骨折、橈骨骨折を認め、上腕骨はあるべき位置からずれて仮骨でつながっていました。すでに固まりつつある骨の仮骨を剥離して新たに骨をつなぎなおすのは厳しい状態であると判断、8字包帯固定法及びボディラップを施し保温と安静療法にて治癒を促しました。

アオバトは人の管理下、特に救護下に置かれると、自力採餌をしなくなることが多い鳥です。現在京都市動物園内で展示されているテンチャも救護センター時代はなかなか自力採餌をしませんでした。この個体はどうかな、沢山食べてほしいのだけどな…と思い様々な餌を用意しましたところ、目標エネルギー量よりも少な目ではあるものの、採餌してくれました!よしその調子!

アオバトの餌はどんなものかというと…。
基本のシードに加え、ソヨゴの実、ドングリ、茹でた栗、果実類(オレンジ、バナナ、リンゴ、桑の実、ブルーベリー、イチジク、小松菜、ニンジン、小松菜とバナナのピュレ、熟柿等)…とにかくなにかしら採餌してほしいとの思いでこんなかんじのバラエティー豊かなメニューとなっています。鳥は見た目で餌を選ぶ事も多いため、毎日新鮮かつ美味しそうに見えるものを!と工夫しました。おかげで順調に採餌してくれました。主にトウモロコシと熟柿を好んで採餌していたように思います。

アオバトは毎日よく採餌し、体力もつけていきました。しかしながら1ヶ月超に及ぶ包帯固定により重度の関節拘縮をきたしていたことと、骨折部位がずれたまま治癒したことでうまく飛ぶことができませんでした。関節拘縮は理学療法にて改善は見込めるものの、野生で生存できるほどに回復するのは難しいと判断せざるを得ませんでした。一直線には飛べるものの、高度が低く、また旋回上昇ができなかったのです。

ではこのアオバトの行先は…京都市動物園のアオバト舎にはすでに4羽のアオバトがいます。ここに引っ越しする案もでましたが、あのスペースで5羽は少し狭いのではないか、となり断念。そこで他都道府県の動物園にも相談をしましたところ、とある動物園さんが引取りを申し出てくださいました。アオバトは新天地へ旅立つこととなりました。

人目に触れると緊張!のサイン。頭部の羽毛が逆立っています。驚かせてごめんね。


引っ越しが決定してからは様々な止まり木を利用しながら移動する練習を行い、人目に触れてもパニックにならないように徐々に慣らしていきました。

移動の前日には、乱れてしまっていた尾羽を熱形成術にて綺麗に整えました。少しでも美しい姿に戻れるように。

旅立ちの日。移送用箱にはいつものメッセージを添えアオバトは新天地へと出発しました。
野生には帰れなかったけれど、自然界のメッセンジャーとして活躍してくれることを願います。

アオバトが人の管理下に置かれ、メッセンジャーになることを望んでいるのか?と言われると、正直なところ望んでいないかもしれません。厳しかろうと自然界で生きるのが野生動物のあるべき姿だからです。人の都合でアオバトを振り回してしまうことにいささか罪悪感を感じてしまいました。振り回してごめんねという気持ちと、メッセンジャーとして頑張ってねという気持ちとが入り混じるのはこのアオバトに限った話ではないのですが、なにが正解なのだろう、と毎回思います。皆さんはどう考えるでしょうか。正解はあってないようなものなのかもしれません。しかし、思考を止めず考えていくことで何か意義がでてくるのではないかな、と担当者は思いました。建設的な議論は活発に行いたいものですね。これからも考え続けていきいたいと思います。

生き延びた幸運と、新天地で生活する勇気を抱き続けてくれますように!
~LUCK!(幸運を) PLUCK!!(勇気を!)~

野生鳥獣救護センター みやがみ