生き物・学び・研究センターブログ
2025年8月12日(火)標本棚のラベル裏018 アジアゾウ(皮革標本)
京都市動物園は1903年の開園以来、様々な動物を飼育してきました。
動物が死亡した後は、教育普及・研究を目的として、標本を作製し保存しています。
このブログでは、現存する所蔵標本を、ラベルに載せ切れない情報と共にご紹介したいと思います。

アジアゾウの皮膚は、部位によりその厚みが異なります。
特に、頭、足、胴、及び鼻の皮膚は分厚く、背部の厚みは最大3.2cmに達します。
この厚みのため、薬を筋肉内に投与する際には、太く丈夫な注射針を使用する必要があります。
また、筋肉が分厚くて安全なお尻に投薬する必要があるのですが、皮膚も厚いため、臀部の皮膚に直角に打ち込んで皮膚を貫通させる技量が求められます。

体表には、黒から灰色がかった茶色の剛毛がまばらに生えています。
この毛は生まれたばかりの子供で多く生えており、成熟とともに少なくなっていきます。

皮膚色は灰色ですが、当園の個体は、しばしば砂を浴びて白みがかった色合いになります。
また、水浴びのなどの直後には、濡れて黒みがかった体色をしています。
この個体は、2001年まで飼育していたトモ。
当時は園内で散歩させていたことが記録に残っています。
間近でご覧になったことがある方も、多いのではないでしょうか。
土佐