生き物・学び・研究センターブログ
2025年9月27日(土)標本棚のラベル裏025 チョウセンオオカミ(皮革標本)
京都市動物園は1903年の開園以来、様々な動物を飼育してきました。
動物が死亡した後は、教育普及・研究を目的として、標本を作製し保存しています。
このブログでは、現存する所蔵標本を、ラベルに載せ切れない情報と共にご紹介したいと思います。

チョウセンオオカミの頭骨については以前のブログでご説明しましたが、今回は皮革標本です。
オオカミの一亜種であるチョウセンオオカミ(ヨーロッパオオカミ、シベリアオオカミ)の毛皮は断熱効果が高く、彼らの体温保持に重要な役割を果たします。

横から見ると、太くて長い毛が密集している様子が分かります。
暖かい気候ではこの毛を寝かせる一方、寒い地方では毛を逆立ててより多くの空気を含ませます。
イヌ科は汗腺が余り発達しておらず、足の肉球にエクリン腺を持つのみです。
このため汗は体温低下に寄与しておらず、代わりに激しく喘ぎ呼吸をすることで気化冷却を行います。

この標本の個体は0005Mウルター(ウルーター、ウルータとも)。
平壌中央動物園から来園した0001Mウルフと0003Fウルルの子で、1989年に生まれました。
標本展示室にて公開している0006F(全身剥製)の兄に当たります。
土佐