生き物・学び・研究センターブログ
2025年11月7日(金)標本棚のラベル裏031 ムササビ(頭骨)
1903年の開園以来、様々な動物を飼育してきました。
動物が死亡した後は、教育普及・研究を目的として、標本を作製し保存しています。
このブログでは、現存する所蔵標本を、ラベルに載せ切れない情報と共にご紹介したいと思います。

今回ご紹介するのはムササビ。
日本における在来種ネズミ目の中では最大級の種です。
生きているときの顔は独特ですが、頭骨になるとネズミ目であることが分かりやすいかと思います。
また、切歯前面が橙色になっています。
アメリカビーバーで書かせていただいた内容の繰り返しになってしまいますが、鉄分を含むエナメル質が吻側にあり、舌側の象牙質が削れることで常に鋭利な状態を保っているのでした。
夜行性であるため、眼球を容れる眼窩が非常に大きくなっています。
こちらは、ビーバーの頭骨とは対照的です。

同じく飛翔する哺乳類のモモンガと混同されることがありますが、皮膜のある部位が異なるほか、大きさにもかなり違いがあります。
北海道大学植物園の北方民族資料室に両方の剥製があり、学生の頃に、「全然違う!」と驚いた経験があります。
ご興味のある方は、一度お訪ねください。
なお、北海道大学総合博物館の方ではありませんので、お間違いなきよう。
ムササビは、モモンガやコウモリなどと共に、野衾や野鉄砲などの妖怪の正体、あるいは元となった生き物なのではないかと言われています。
このサイズの生き物が夜に顔に飛びついてきたら、恐怖を感じるのも無理ないかと思います。

京都市動物園では現在もムササビを飼育していますが、日中にはまず見ることができません。
夕方以降は活発に走り回る様子がご覧いただけますので、是非来年の夜間開園にお越しください。
土佐
