生き物・学び・研究センターブログ

2025年4月27日(日)標本棚のラベル裏004 ハクジラ亜目(頭骨)

京都市動物園は1903年の開園以来、様々な動物を飼育してきました。
動物が死亡した後は、教育普及・研究を目的として、標本を作製し保存しています。
このブログでは、現存する所蔵標本を、ラベルに載せ切れない情報とともにご紹介したいと思います。

ハクジラ亜目、おそらくイルカの仲間の頭骨です。
アジアゾウの頭骨と同様に、鼻腔が目より頭頂部側に位置しています。
この鼻腔は途中で一つになり、頭頂部の噴気孔に繋がっています。
陸生哺乳類と比較すると歯が特殊化していない点(同形歯性)も特徴でしょうか。
額部の凹みはメロンと呼ばれる脂肪組織が収まっていた部分。
メロンは、反響定位(エコーロケーション)に使用される特殊な器官です。

004にして冒頭の定型文を裏切るのですが、京都市動物園ではイルカを飼育した記録はありません。
1953年から1968年まで園内に水族館を設けていましたが、勿論イルカはいなかったようです。
この標本の来歴は不明ですが、120年以上の歴史の中で、漂着したものを採取したか、寄贈を受けたものではないかと考えています。

歴史が長いとこんな掘り出し物が見つかるのが、標本整理の楽しみの一つです。

土佐