生き物・学び・研究センターブログ

2025年10月4日(土)標本棚のラベル裏026 ホンシュウジカ(皮革標本)

京都市動物園は1903年の開園以来、様々な動物を飼育してきました。
動物が死亡した後は、教育普及・研究を目的として、標本を作製し保存しています。
このブログでは、現存する所蔵標本を、ラベルに載せ切れない情報と共にご紹介したいと思います。

海外の動物の標本を多くご紹介してきましたが、ここで在来種。
ホンシュウジカの夏毛の皮革標本です。

頭骨については既に紹介したホンシュウジカ
他の多くの野生動物と同様、年2回の換毛により夏毛と冬毛を切り替えます。
このうち夏毛は白い斑点が散在した模様で、鹿の子模様と呼ばれます。
元々子供のシカの模様に由来する言葉ですが、シカの夏毛も同様に呼ばれることが多いようです。
また、1枚目の標本全体像の中央に走るのはいわゆるタテガミの部分。
オスでは長くメスでは短いと言われています。

鹿の子模様は、森の中で木漏れ日が落ちる様子に溶け込む保護色になると言われます。
模様は1頭1頭に固有で、換毛を繰り返しても変わることはありません。

シカは、カモシカと並び、日本に生息する数少ない大型動物の一つです。
その皮革は柔らかく滑らかで、伝統的に武具の材料等に使用されてきました。
伝統工芸である甲州印伝は鹿皮に漆で紋様をつけたもので、現代でも財布や巾着として流通しています。

土佐