生き物・学び・研究センターブログ
2026年2月20日(金)標本棚のラベル裏043 スローロリス属(メス、頭骨)
動物が死亡した後は、教育普及・研究を目的として、標本を作製し保存しています。
このブログでは、現存する所蔵標本を、ラベルに載せ切れない情報と共にご紹介したいと思います。
現在、京都市動物園ではレッサースローロリスを飼育しています。
飼育記録を遡ると、1935年に寄贈を受けたスローロリス属が、最初の飼育個体であったようです。
その後は交換・寄贈・緊急保護個体を展示しており、1978年には繁殖にも成功しています。

夜行性の動物らしく、大きな眼窩を持っています。
一方眼窩後壁はなく、眼窩は完全には独立していない。
この辺りは、ワオキツネザルなどと共通する特徴です。
マントヒヒなどと比べると、吻部が余り突出していません。
スローロリスの主食は樹液であるため、堅果を食べるサルと比べて咀嚼能力が低いのだと思われます。
今日の動物園では、アラビアガムなど本来の食性に近いものを与えて健康維持に努めています。

丸顔、大きな目、小さな体、ゆっくりな動きなど、いわゆる「カワイイ」特徴を多く備えるスローロリス。
このため、野生捕獲個体が、ペットとして違法取引されている実情があります。
飼育下繁殖個体の取引は違法ではないものの、夜行性であること、毒をもつこと、寿命が長いことなどから、ペットとしては不向きです。
lorisの名称は、18世紀のフランス語、更に遡れば古オランダ語の「道化師」に由来するとされます。
学名はNycticebusで「夜のサル」を意味し、夜行性の生態に由来しています。
中国語では懶猴、和訳すると「ナマケザル」。
もし「ナマケザル」のほうが一般的な名称になっていれば、飼いたいという方ももう少し少なかったかもしれません。
土佐
