生き物・学び・研究センターブログ

2026年7月3日(金)標本棚のラベル裏050 カリフォルニアアシカ(17歳メス、頭骨)

動物が死亡した後は、教育普及・研究を目的として、標本を作製し保存しています。
このブログでは、現存する所蔵標本を、ラベルに載せ切れない情報と共にご紹介したいと思います。

この頭骨の形を見てアシカと推定することができたなら、かなりの上級者。
私は、初見では全く当てることができませんでした。

カリフォルニアアシカは、北アメリカ西海岸に生息するアシカ科の動物。
食肉目でありながら海に進出した彼らの頭骨には、水中での生活に特化した変化が数多く見られます。
個人的には、「歯の変化」が最も特徴的であると感じています。

鰭脚類は、(1)噛みつき、(2)吸引、(3)濾過という3種類のいずれかの摂食方法を発達させました。
このうちカリフォルニアアシカは噛みつき型で、歯は単純な形に変化し、特に臼歯は形や大きさが似通ってきます(同形歯性)。
これは、イルカなどでも見られる特徴でした。
獲物を噛み砕くよりも、しっかりと捕らえて飲み込むことに特化していると言えるでしょう。

この標本の個体は、当園で飼育していた0038F花園(メス)。
1980年に当園で生まれ、1998年に死亡しました。
オス6頭、メス1頭の子を出産しています。

なお、この個体はカリフォルニアアシカですが、過去には当園を含むいくつかの動物園で、二ホンアシカを飼育していた可能性があります。
現在当園が所蔵している標本は全てカリフォルニアアシカになりますが、全国の動物園のどこかには、まだ日の目を見ていない二ホンアシカの標本が眠っているかもしれませんね。

土佐

参考資料;

  • 京都市動物園(2003):カリフォルニアアシカ.In 京都市動物園100周年記念誌 京都市動物園100年のあゆみ:50-53.京都市動物園編,京都市動物園.京都.
  • Kienle, S. S., Cuthbertson, R. D., & Reidenberg, J. S. (2022): Comparative examination of pinniped craniofacial musculature and its role in aquatic feeding. Journal of anatomy, 240(2): 226–252.
  • Miller, E. H., Ha-Cheol Sung, Valerie D. Moulton, Miller, G. W., J. Kerry Finley, and Stenson, G. B. (2007): Variation and Integration of the Simple Mandibular Postcanine Dentition in Two Species of Phocid Seal. Journal of Mammalogy, 88(5): 1325–1334.
  • 井上貴央(2025):日本海・竹島のアシカ猟.96pp.産経新聞出版.東京.